95.教育者の訓練

10代の頃から佐藤学長は教育者の訓練をされていたというお話です。

 

 

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私、コックさんやってる時から、無意識にやってたんですよ。コックさんやって、まだ18、19ぐらいですよ。コックの見習いですよ。必ず同じ厨房だとか同じお店で、いつも文句ばっかり言ってる人間、必ずいるじゃない、どこ行ったって。いつも愚痴言ったり、上司の悪口言ったり。必ずいるんだよね。

 

その頃からね、ある意味じゃ教育者の訓練してたのかもしれない。「ちょっとお茶でも飲みに行こう」って連れていくんです、そういう人間を。私も同じような同級生ぐらいなんですよ。なのに、一回全部1時間ぐらい相手の話を聞いてあげるんです。「ああ、そうか、そうか、そうか」って。

 

だいたい1時間ぐらい聞くと、だいたい空っぽになりますから。もう言うことなくなる。「他もうないか」と言ったら、「ない」って。そっから私の話が始まるんです、全部出させてから。「だって、おまえ、考えてみたらすごいじゃないか。そんだけくだらない先輩だったら、追い抜けばいいじゃない。こんなチャンスないじゃないかと。素晴らしかったら、いつまでたっても追い抜けないじゃないか。そんなあなたが言うようにくだらない先輩だったら追い抜いて、その人を使えるようになろうよ」と言って、そういう話をバーッと熱弁振るうわけ、将来お店を持った話とか、何とかかんとか。そうしたら、だいたい2時間あればスカーッとしてみんな帰っていきます。

 

(つづく)